PET の分子量が繊維構造形成におよぼす影響
最新の科学技術を利用して繊維の物性が発現するメカニズムを明らかにし、新繊維開発のための基盤知識構築を目的としている。
実験は、SPring8の超高輝度X線源と、我々の持つレーザー延伸および溶融紡糸技術の組み合わせで行われる.レーザー光の照射によって走行中の繊維を急速加熱して延伸点を高精度に固定し、世界最強クラスのUndulator X線光源を利用することで、数msで完了する繊維構造形成過程の測定に世界で初めて成功し、現在では0.1ms程度の時間分解能、高いS/N比での撮像が可能になっている。
PET/PVB 芯鞘繊維の延伸及び物性評価
主に接着剤用途に用いられているPVB(ポリビニルブチラール)を繊維化することで繊維状の接着剤の開発を目的としている。
現在、PET/PVB芯鞘複合溶融紡糸に成功し、それらの繊維の延伸を行い、得られた延伸繊維の構造と物性(特に接着性の変化)を調査している。
繊維状接着剤の産業用途への展開として、芯鞘繊維の鞘成分に用いることで繊維同士の接着性の増加、メルトブローンに混繊することで不織布の接着剤に適応が期待される。なかでも後者は不織布同士を接着した際の通気性および透気度の低下を抑制できる可能性がある。これが実現すれば高機能多層フィルター等の機能低下を最小限にすることができるなどの期待がある。