ニードルパンチ法による不織布の作製

ニードルパンチ不織布は返し(バーブ)のついた針でウェブと呼ばれる繊維シートを突き、繊維を絡める方法

                ニードルパンチ法での不織布作製の概略図

研究内容

ニードルパンチ針の形状が不織布内部構造に及ぼす影響の検討

 ニードルパンチ用針のメーカーであるオルガン針(株)との共同研究。バーブの大きさや角度、数などのニードル形状が不織布の内部構造に及ぼす影響を明らかにするための研究。また、製造条件により構造の変化、物性を検討し、X-ray CTの結果との関係を定量的に評価し、製品の目的に合う一番適切な針の提案を目指す。最終的には製紙用フェルトや自動車吸音材用の針の開発が目的である。

ニードルパンチの工程条件により作製した不織布について、変形による内部構造変化をX線μCTで解析

 ニードルパンチ不織布の製造条件により内部構造も変わり、最終的な物性も変わる。また、このような内部構造は、使用中の引張・圧縮・せん断変形によっても変わる。例えば、土木工事用不織布なら、圧縮が掛かった状態で使えるし、掃除用の不織布は摩擦によるせん断変形を受ける。圧縮と剪断変形に伴う不織布の内部構造変化をX 線CTによって鮮明に可視化、及び正確な定量的に評価することを試み、不織布の強度発現メカニズムなど、不織布の物性と構造の関係を明らかにする。

トレーサー繊維による不織布の構造解析

 X-ray CTでは、原理上、金属成分(造影剤)を含んだ繊維は他の繊維と比べて10倍以上X線を吸収する。本研究ではAgIを導入したナイロン繊維とCuIを導入したナイロン繊維の2種類のトレーサー繊維(追跡繊維)を利用して、不織布構造の定量的かつ統計的な解析を目指した。2種類のトレーサ繊維をニードルパンチ不織布へ応用し、不織布内部構造形成にもっと多い情報を得ることを目指している。特に今年度からはより実生産に近いニードルパンチ条件(両面パンチング、パンチング密度の増加)を設定することで、より実用性が高い研究を目指す。